初心者でも安心の着付け教室ガイド
書道と聞くと、大抵の人は小中学校で習った習字を思い出すかもしれません。しかし、この世界も極めればどこまでも深い芸術世界です。雄大でダイナミックな山河の風景と書道家の精神がシンクロしたものであれば、見る人の心を強く揺り動かすでしょう。着物を美しく着こなして、書の世界に入っていくのも大変に有効な方法だと言われています。ここでは書道に合う和装について紹介します。
日本の文化を考えたとき、近現代のごく一部の時期をのぞいては書道が文化を支えてきたといっても過言ではないでしょう。西暦285年、中国から日本に漢字が伝来して以来、ほぼすべての文字情報は、硯(すずり)と墨を使って毛筆で書く書道によって記録されてきました。私たちがいま日本の歴史をさかのぼることができるのも書道があったからと言って過言でありません。
文化としての書道を考えたとき、非常に重要な役割を果たしてきたのは写経といえます。仏教の経典を真心込めて書き写す、その過程を経て人生観・世界観を確立していく、このような試みは貴族・武士を問わずに行われてきました。書を通じて自分自身の精神世界の奥深い部分を見つめる、このような書の機能を通して、華道、茶道などと並び称される書道の世界が生まれたのです。
本来書道は、文字を表記して他者とコミュニケーションをとるツールとして生まれました。そのなかで、書を通して深い世界を表現しようとする人々が現れ、自己表現の方法としての書道も確立されていきます。読みやすい文字という制約にとらわれず、描き出す文字と自分自身の精神世界との間の緊張感をとらえ、自由な筆跡で紙の上で描き出す。このような書道は芸術分野として確立され、現在なお多くのファンを抱えるジャンルです。
手軽に家庭でもはじめられる書道ですが、日本には数十を超える書道コンクールがあり、子どもから大人まで多くの人々が熱心に取り組んでいます。
たとえば雅楽や日本舞踊と同様に書道には日本古来の伝統や文化と触れあう素晴らしい機会です。書をするときに着物を着るのは、日本文化をより深くたしなむ1つの方法といえます。
とはいうものの、やはり見逃せないのは書道をするときには真っ黒い液体である墨を使うということです。とくに現代書道の場にあっては、ダイナミックな動きをすることも少なくありません。墨の水滴が飛び散ることで、着物を汚してしまうリスクを把握しておくのが大切です。
このために多くの書家は、書を描くときには羽織袴姿を選びアクティブなスタイルで、表現行為にのぞみます。とくに羽織袴に黒や濃いグレイを選ぶことで若干の汚れは防ぐことができます。
また女性でどうしても、きもの姿で書道を経験したいときには、付下げなどのシンプルなきものを選び、できれば割烹着などで汚れを防ぐ工夫が必要になります。
大人の女性で書道をはじめる人は、はじめ展示会やコンクールをめざすという人も多いようです。
実制作のときには、できるだけ華美なスタイルは控えて、汚れに気をつけなくてはいけませんが、展示会やコンクールの表彰式は、着物によるおしゃれの絶好のチャンスです。とくに美術館で行われる展示会におもむくときなどは、静粛につつまれたほの暗い展示室のなかで、大自然や山河を思わせる書の数々が展示されるなか、その雰囲気に合った、着物姿で訪れるのは、それ自体が芸術的な表現行為といえるほどです。
とはいうものの、展示会におもむくときの和服に気をつけたいこともあります。気をつけたいのは、書道の世界はモノトーン、黒白で描かれているということです。あまりカラフルなきものや鮮やかな柄模様のきものを選ぶと、その場から浮き上がってしまうことがあります。
一般に、書道自体が黒白の世界なので、着物選びもモノトーン基本の渋い魅力があるものを選べるといいですね。やはり訪問着よりは、付下げや無難な色での色無地の着物が吉でしょう。
書道コンクールの表彰式のときは、あなたの努力にスポットライトが当たる素晴らしい機会です。少しは色使いも派手目にして、主役の立場を際立たせてみるのも許されます。
とくに最優秀賞、特別賞など表彰式の最後に名前が読み上げられるような賞をもらえるときには、華やかな着物姿で壇上にのぼることでコンクール自体の華やかさを盛り上げてもらえるでしょう。訪問着や黒紋付でも許されるはずです。
一方でコンクールに入賞しても佳作や次席のような比較的ランクが低いときには、あまり悪目立ちしないかたちで、付下げや地味めの色無地のきものを選ぶのが無難ではないかと思われます。
このほかコンクール入賞者には、展示会やパーティでの接客をたのまれることがあります。黒留め袖なとの礼服や訪問着で思い切り目立ってもいい瞬間です。
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